防災×災害時要配慮者

当事者とともに取り組む道筋を考えよう~障害のある人・外国人のケースから

 誰ひとり取り残さないインクルーシブ防災の実現が目指されるなか、いざというとき、高齢者・障害のある人・情報伝達に配慮が必要な外国人など要配慮者の人たちとつながるには、日常的な取り組みと助け合える関係を築くことが大切です。

 この分科会では、障害者と多文化共生の2つの分野から、災害時の配慮の視点や地域を支える外国人防災リーダーの活動など、具体的な取り組みや当事者の声を聞きます。障害のある人や外国人が、助けられる存在としてだけでなく平時から地域の防災に参加していく道筋とコーディネーターの働きを、一緒に考えませんか。

地域防災に取り組んでいる方 / 災害時要配慮者とのつながりを築こうとしている方  / テーマに関心がある方


【登壇者】

事例発表者 古賀 由美子さん 北九州市障害福祉団体連絡協議会 常任委員

1歳8ヶ月でポリオ発症、自動車運転免許を取得したことをきっかけに障害者運動への関わりを開始、活動の幅を広めながら昭和56年の国際障害者年をきっかけにその翌年、障害のある人もない人も「ともに」福祉の風土づくりを進める団体として北九州市障害福祉ボランティア協会を設立、発足当初から協会運営の中核を担ってきた。更に平成10年には障害福祉の関係団体が大同団結した北九州市障害福祉団体連絡協議会に参画、防災を切り口とした活動を通して「地域と障害のある人を繋ぐ」活動を続けている。

事例発表者 遠山 昌子さん 生き方のデザイン研究所 代表理事・コーディネーター)

インクルーシブデザイン思考で社会を変えるNPO として、誰もが暮らしやすい社会を創り出すプロセスのいろいろな場面で、特に障害のある人とない人が「ともに」参画する機会を創りたいと活動しています。時には命や人権の問題にも直面し、寄り添い向き合う中で、「障害のある人」ならではの視点や体験は、新たな気づきや学びの宝庫だと気づかされる毎日。その人がその人らしく生きづらい社会を「障害」だと考えると、一人ひとりが大切にされる社会のあり方も見えてきます。自分とは異なる誰かと「ともに」あるからこそ、多様な人や多様な価値観にOKが出せるようになると信じています。

事例発表者 上原 ジャンカルロさん 三重県国際交流財団 専門員

ペルー出身の日系3世。10歳のとき家族で来日し長野県で暮らすが3年後、家庭の事情で帰国。 ペルーで大学を卒業し、貿易関連企業に就職。2006年に再来日し、日本に住むことを決意。外国人住民が多く務める企業で通訳として5年間働く。2011年から滋賀県にある湖南市国際交流協会の外国人相談員に。2012年、びわこ日本語ネットワーク主催の外国人によるスピーチ大会で最優秀賞受賞。2013年から三重県国際交流財団で専門員として勤務し、主に災害時の外国人支援、医療通訳者の育成と普及に取り組んでいる。 

事例発表者 玉城 エリカさん 多文化防災ネットワーク愛知・名古屋(TABOネット)

ペルー出身。外国にルーツを持つ子どもたちを支援するNPOの活動に携わっていたところに2016年の熊本地震が発生。有志による「現地に行けなくても何かできることがないか」との動きが「多文化防災ネットワーク愛知・名古屋(TABOネット)」設立につながる。外国人ならではの視点を生かしつつ、外国人は「支援される」だけではなく、「支援する」側にもなることの活動を展開。名古屋市港区の地域福祉計画策定には作業部会のグループリーダーとして参画。障害を持つ子どもの親でもあり本分科会は個人的にも関心が高い。

コメンテーター 明城 徹也さん 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) 事務局長

福井県生まれ。米国の大学を卒業後、建設会社勤務。その後NGO業界に転身し、海外で数多くのプロジェクトに携わる。東日本大震災では、ジャパン・プラットフォームの職員として、被災者・復興支援に従事。2013年より「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」の設立準備会議に参加し、2015年関東・東北豪雨水害や2016年熊本地震では、現地での支援コーディネーションを努める。JVOAD<全国災害ボランティア支援団体ネットワーク> のNPO法人化を機に、事務局長に就任。

進行 藤井 美香さん 横浜市国際交流協会

民間企業および留学団体を経て、横浜市国際交流協会に就職。横浜市国際学生会館(留学生宿舎)で施設運営や交流事業に携わったのち、多文化共生業務に携わる。現在の担当である地域日本語教育や外国につながる子ども支援等のほか、これまでに外国人相談窓口、通訳派遣、災害時対応事業などに従事してきた。多くのボランティアとの関わりなどから「コミュニケーションの場づくり」に関心をもち、ホワイトボード・ミーティング®などにも取り組んでいる。(一財)自治体国際化協会認定多文化共生マネージャー。

進行 矢冨 明徳さん 佐賀県国際交流協会

「FREE YOUR HEART OF BORDERS! 心の国境をなくそう!」をスローガンに活動する佐賀県国際交流協会の企画交流課長。民間企業勤務、海外留学等を経て2011年に佐賀県国際交流協会に入職。同年に研修「多文化共生マネージャー養成コース」を受講し、その後は多文化共生マネージャーとして、さまざまな多文化共生事業に関わる。また、佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)のメンバーとして、県内CSOとともに災害支援の活動にも取り組んでいる。

〈担当〉鹿住貴之JUON(樹恩)NETWORK / 菊池哲佳(多文化社会専門職機構)